FVC定時株主総会に行ってきました(21年6月24日)

office-1828124_1920.jpg先般予告しましたとおり、京都にてFVC総会にいってきました。コロナ禍とはいえ、今回のFVC定時株主総会は、凄まじく低い出席率でした。私含めて6~7人とかだったとおもいます。最低でも40人は入れそうな部屋での開催だったので、まばら感(= 自然なソーシャルディスタンス)が著しく、「この少ない人数で株主質疑を一人2問に制限するとは何事か!」と、お怒り気味の個人株主さんもおいででした。

さて、総会の内容ですが、今後の未来へのわくわく感が、どうしても伝わってこなかったかな、といった印象を受けました。社長自身の造語とされる「VAAS」モデルも、どうしても従来型投資ファンドがもらうファンド管理報酬に聞こえてしまいます。

ただ、私含め8000人近くいるFVCの個人株主は、別にそこ(FVCの事業モデルの実態)に期待して株を買っているわけではないのかもしれません。それを端的に表していたのが質疑での某株主さんのご発言。「私のほかの投資先はテンバガーなのに、FVCだけ塩漬け。ZMPの上場はあるのか、言える範囲で教えてほしい。」と結構切実におっしゃていました。(それに対する回答は、さすがに社長のお立場もあるので、杓子定規(しゃくしじょうぎ)でしたが。)

株主は、小規模に安定したFVCより、果敢にリスクをとり、たとえ失敗してもそのディール毎に成長する、ダイナミックな投資会社としてのFVCを望んでいるかもしれません。

私も挙手して質疑にのぞみ、昨年投資直後に3億円全額減損処理したH.I.F投資の回収展望について訊ねると、「基本IPO」とのこと。

なお、21年3月期の経常利益94百万円という数字は、創業来最高だそうです。FVCの事業基盤のポテンシャル(無借金経営・20億円の現預金・全国有力地銀とのパイプ)からすれば、まだまだ誤差というべき数字と思いますが、この94百万円を踏み台に、ますます、そして早急に、飛躍してもらいたいものです。

質問は2問に制限されていたので、もう一つの質問を利用して、「12億の現金をM&Aにあと一年以内に使う、みたいな期限決めは、交渉相手にも足元みられるし、案件でなく期限を先にきめる投資で成功するなんてないので、いっそのこと期限の公約を取っ払ってはどうか」と質問形式で注文をしておきました。(その場での回答は、ご想像どおり杓子定規の月並み回答(内容が内容なのである意味仕方なし)でしたが、私のその注文を横で聞くFVC役員の方々が、うなずきながらそれを聞いてくれていたのが印象的でした。)
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東芝事件が暗い影を落とす2022年市場区分再編

analysis-680572_1920.jpg報道を賑わす東芝の21年6月10日付「調査報告書」騒動。その問題の本質と我々が学べる教訓2つについて、昨日ITmediaさんに寄稿しました。まるでドラマのようなこの事件は、後世、「21年東芝スキャンダル」として記憶されることになるかもしれません。

株主が外国人であろうと日本人であろうと、投資先の経営幹部によって、社内で名指しで「政府にコワモテ対応をお願いしよう」「しばらく政府に叩いてもらおう」などと言われていればぞっとするし、政府役人から繰り返し「隣で大火事のときに横でバーベキューして巻き込まれないように」などと言われれば、異常なストレスを感じるでしょう。

そして、今後気になるのが、本スキャンダルによる投資家全般の「心理」への影響です。本調査報告書が世に出る前の「過去」の視点と、出た後の「未来」の視点に分けて考えます。

まず過去の視点。2017年12月、投資家勢は東芝に6000億円を注入しました。もし彼らが、会社法上保証される自分の株主権につき、上記のコワモテ・BBQ対応をとられることを、当時の増資契約締結の前に知ったとしたら、それでもあの6000億を東芝は調達できていたでしょうか。

そして未来の視点。東証は、2022年4月4日に現在の四つの市場区分を、プライム市場・スタンダード市場・グロース市場の3つの新しい市場区分へと再編します。東芝調査報告書を見たグローバル投資家の目には、プライム市場はそのコンセプトどおりのグローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場として映るのでしょうか?

21年3月の臨時株主総会で、東芝の調査報告書が決議されていなかったら、東芝はどうなっていたのか。東芝はこのまま来年プライム市場に移るのか。日本の株式市場の益々の進化を願うほど、ハレーションに満ちた憶測と想像が、尽きません。

ESGがいまの相場バブルに「とどめを刺す」理屈と、もう一つの懸念点

board-1193333_1920.jpg「ESGの潮流が今後ハイパーインフレを来す可能性がある。」ドイツ銀行のストラテジストがそう語ったそうです。ざっくりどういう論点かというと、原油価格とインフレ期待は歴史的に常に連動しており、70年代や80年代、中東での革命や戦争が原因で世界的に原油の供給不足がおこって価格が上昇したとき、連動してインフレ期待が高まった。逆に、シェール層からの石油や天然ガスの採掘が可能になったことをうけ、OPECが2014年、原油価格を犠牲にしてでもエネルギー市場での原油のシェアを守る決断をして以降、供給過多で原油価格は低迷し、連動してインフレ期待は低まった。そんな中、ESGで再生可能エネルギーへのシフトが加速するほど、少なくとも一定期間はエネルギー供給側と消費側による設備投資やCO2吸収量クレジットへの投資がかさみ、従来の安い原油は選択肢から消え、インフレ圧力がかかる、というわけです。

インフレになると、世界中の中央銀行は金利を上げざるをえず、今までの歴史的量的緩和で支えられた流動性相場は弾け、信用買いの巻き戻しも入り、日本の中低位株銘柄ですらパフォーマンスに大きな影響を受けるでしょう。

ただもう一つ心配なのは、この「ESG」というくくりに埋没している「企業統治」の議論です。「E(環境)」や「S(社会)」を意識して企業経営(G)をせよ、という文脈はわかるのですが、企業統治には他の重要な側面もあります。「株主に提供されたリスクマネーで社長は保身行為をするな」「大株主だからといって会社に利益相反取引を強いるな」「経営判断ミスで多額の減損計上したなら、適時開示IRではぐらかさず、正直な開示をせよ」などの、会社にまつわる全ステークホルダーへの善管注意義務の履行です。

ESGに端を発するマクロ経済の議論に傾聴しつつ、ミクロ(会社単位)の「G」の重要性に、改めて思いをはせるのでした。

オーナー社長を過小評価するガバナンス論調

businessman-1477601_1920.jpg巷で見聞きするコーポレートガバナンス改革議論のほとんどが、「社外取締役」やら「独立性」を重視せよ、あるいは「女性取締役・執行役員」を増やせ、という論調に思えます。もちろん、会社経営の執行に絶大なる権力を持つ社長はじめ執行役の牽制は大切です。ネットで世界が繋がり、消費者意識もどんどん進化するグローバルESG時代、外部の多様な視点を会社経営のかじ取りに活かすのも絶対必要だとおもいます。

私が唯一疑問におもうのは、議論のフォーカスに「バランスがきちんと取れているのか」という点。

会社の事業に精通し、同時に大株主(時には筆頭株主)でもあるオーナー社長の考えや判断は、やはり相応に尊重されるべき重みがあると思うのです。特に、経済危機や競争環境変化などで、会社経営のかじ取りが大変なとき、その事業に精通しない外部の監督者は、一体どれだけ効果的な救世主になりえるのでしょうか。

独立性や外部の視点は大切。経営監督機関の多様性確保も大事。ただし、事業の裏表に精通し、寝ても覚めても自分の会社のことを考え、業績や株価が上がっても下がっても自分の懐事情に大きくインパクトを抱えるオーナー経営者のリスク計算と判断力を、過小評価してはいけない。自社株保有数も少ないサラリーマン社長では、株価を上げる動機がないのみならず、ときに会社は生き残れないとおもうのでした。

個人投資家の脅威を意識? ゴールドマンなど大手証券がミーム銘柄の空売り制限を強化

s米国で特に人気のミーム銘柄につき、米大手証券が空売り制限をかけている、とブルームバーグが報じています

損を被るのは投資家なのに、なぜ証券会社が制限をかけるのか?と不思議に思うかたもいらっしゃるかもしれませんが、これは証券会社のプライムブローカレッジというサービス部門において、機関投資家に信用買いの資金提供や信用売りの貸株提供を行い、サービス料を受け取るビジネスをしているからです。(これを補完するサービスとして、「セブンイレブンを空売りしてローソンを買って、裁定機会を狙いませんか?」みたいな営業をするヘッジファンド・セールスといわれるデスクも証券会社にはあります。)

日本でも大きく報じられた、今年3月の米投資会社アルケゴスの破綻をうけ、野村を含む複数の大手証券がプライムブローカレッジで巨額の損を出し、証券業界はすぐさま顧客に提供する信用のリスク管理の見直しに着手したのでした。

SNSで連帯する個人投資家の脅威が、ウォール街で大手証券の経営判断に大きな影響を与えていると言えます。

プロフィール

金武偉 / Will Kim

Author:金武偉 / Will Kim


マンティス・アクティビスト投資1号(株)代表

ミッション・キャピタル(株)代表

過去の略歴:
2000年 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)卒業

2001年 ゴールドマン・サックス証券入社

2003年 JPモルガン証券に転籍

2005年 ボストン大学ロースクール入学

2008年 ロースクール卒業。ニューヨーク州弁護士としてウォール街に本社を置くサリヴァン・アンド・クロムウェル法律事務所入所。米国の会社法・証券取引法を専門

2013年 ユニゾン・キャピタル入社

2014年~複数のフィンテック・AIベンチャー経営参画後、投資活動への専念を決意

2018年 インパクト投資に特化するミッション・キャピタル(株)設立。代表取締役就任

2020年 上場企業アクティビスト投資に特化するマンティス・アクティビスト投資1号(株)設立。代表取締役就任

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