2021/06/10
ESGがいまの相場バブルに「とどめを刺す」理屈と、もう一つの懸念点

インフレになると、世界中の中央銀行は金利を上げざるをえず、今までの歴史的量的緩和で支えられた流動性相場は弾け、信用買いの巻き戻しも入り、日本の中低位株銘柄ですらパフォーマンスに大きな影響を受けるでしょう。
ただもう一つ心配なのは、この「ESG」というくくりに埋没している「企業統治」の議論です。「E(環境)」や「S(社会)」を意識して企業経営(G)をせよ、という文脈はわかるのですが、企業統治には他の重要な側面もあります。「株主に提供されたリスクマネーで社長は保身行為をするな」「大株主だからといって会社に利益相反取引を強いるな」「経営判断ミスで多額の減損計上したなら、適時開示IRではぐらかさず、正直な開示をせよ」などの、会社にまつわる全ステークホルダーへの善管注意義務の履行です。
ESGに端を発するマクロ経済の議論に傾聴しつつ、ミクロ(会社単位)の「G」の重要性に、改めて思いをはせるのでした。